アークミノーの記憶
10.6
あの状況で釣れるということは、
と、言うわけでタイミングを見て翌日も。
徒歩で場所移動しながら7キャッチ、2バラシ。
ロッドは、TLB-73DT。ルアーは、ビットストリーム95。
帰り道の車中に思い出していたこと。
30年以上前、ヨーヅリ(現:デュエル)で「アークミノー」という名のミノーがあった。
ケミホタルを入れて使用でき、当時としてはリアルな見た目も魅力だった。
少ないお小遣いのなか、上州屋で購入した。
海のルアー釣りというイラスト入りの本を持っていた。
そこに載っていた汽水域にも生息しているという「シーバス」に憧れをもち、何度も読み返した。
シーバスというのは、ファイトも力強くエラ洗いというジャンプで激しく抵抗するらしい。
一度、父親に「木曽川の下流部に連れて行って欲しい」と頼み、連れて行ってもらった。
何の情報もなく、知恵もなく、日中に下流部の排水機場のプールになっている茶色の淀みに、ルアーを投げ込み続けた。
今から考えれば、釣れる訳がない。
しばらく投げ続けていたが、何も起こらない。
予想通りであったものの、少し悲しくなり、気落ちして帰った。
シーバスが釣れるなんて、絵空事のように思えた。
あれから30年以上が経過し、普通にシーバスを釣ることができるようになった。
あのときの気落ちした少年に、「いつか釣れるようになるよ」と言ってあげたい。
シーバスの姿を見せてあげたい。
少年に、今の自分がシーバス釣りを教えている姿を夢想しながら帰路についた。
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